こんにちは。boo booです。
看護師として就職や転職をする上で、まずはじめに考えるのが「何科を選ぶか」ではないでしょうか。
自分は精神科病院に勤めて6年ほどになりますが、個人的にこんな人は精神科に向いていると思います。
●ワークライフバランスを重視したい
●人の話を聞くのが上手
●ゆっくり患者と関わりたい
●社会経験のある人
自分は社会人枠で3年生の看護学校に入学し、新卒でとある総合病院の内科と整形外科の混合病棟に就職しましたが、ブラックすぎて半年で退職してしました。
そんな自分が身体科と比べて精神科で働くメリット・デメリットを解説したいと思います。
何科に就職しようか迷っている看護学生や、転職を考えていて精神科に興味がある人の参考になれば幸いです。
精神科看護師になるメリット
優しい看護師が多い
ブラック病院で働いて身に染みたのは、仕事を選ぶ上で一番大事なのは環境であるということです。
どんな崇高な理念を持って看護師になっても、周囲の先輩や同僚からパワハラを受ければ仕事で成長するどころではありません。病みます。
この点、精神科の看護師は優しい人が多いです。もちろん人によりますが、明らかに優しい看護師の割合が多いです。
精神科では体ではなく心のケアを主とするため、自然と人に優しい看護師が集まるのかもしれませんね。
自分も中堅看護師の位置付けになり、後輩を優しく見守れるような先輩看護師でありたいと思います。
残業が少ない
一般に精神科は残業が少ないと言われます。
今自分がいる認知症病棟は人員が少なく残業がそこそこありますが、その他の急性期や慢性期病棟では残業はほぼないです。
羨ましい・・・
残業代はきちんと出るのでその分少しお賃金は上がりました。
また休日も完全週休二日制で有休消化率もほぼ100%です。
かといって身体科の病院と比べて給料が低いわけでもありません。3次救急をやっているような超忙しい病院よりは安いとは思いますが・・・
すべての精神科がそうとは限りませんが、ワークライフバランスを重んじる人にとっては精神科はお勧めできます。
ちなみに自分が最初に勤めたブラック病院は完全週休二日制でしたが、毎日残業が2~3時間ありもちろんサービス残業でした。また休日でも詰所会、研修などあればほぼ強制出席でした。
完全週休二日制だからワークライフバランスが良いとは限りませんね…良い勉強になりました。
精神科看護技術は素晴らしい
学生のとき、なんとなく「最初は急性期とか身体を学べる病院がいいな」と思っていました。
まわりでも新卒で精神科を選んでいる人は少なかったです。
そこには精神科では身体の看護技術を学べない、という想いがありました。
しかし身体科から精神科に転職して、そこまで大きな差はないと思いました。これについては完全に個人の学習意識次第だと思います。
確かに病院として重篤な身体合併症の患者が出たら対応できずに身体科に転院となったりします。
しかし、その身体合併症を早期に発見できるかどうかは、実は看護師の腕にかかっています。
特に精神疾患を持つ患者は、精神症状によって身体症状が見えにくくなっていることも良くあります。
例えば大腿骨頸部骨折しているのに普通に歩いている認知症の高齢者など。
その人の普段の状態を知っている看護師の観察力が問われます。
これってすごい技術だと思いませんか。
そもそも、身体科だって色々です。消化器や呼吸器など、診療科によって専門性はありそれ以外の普段見ない疾患のことはよくわからなくて当たり前です。
精神科だからと言って身体科より技術が下ということはありません。精神科の専門性は本当に奥が深く素晴らしいと思います。
精神科で勤めてすぐ、ある統合失調症の若い女性の患者が夜中に突然裸体になってしまうことがありました。
そのとき自分は、「ああ、いつものことだな、部屋に誘導しないと」と思っただけでした。
そのとき、相勤のベテラン看護師が急いでシーツを取ってきてその患者にマントのようにそっと巻き付けて部屋へ誘導しました。
あとでその先輩から「今は症状が悪い時期で疎通も取れなくなっているけど、自分が人前で裸になったことはちゃんと覚えているもんだよ。それで症状が良くなったときに恥じて自殺してしまう人もいる」と言ったことを覚えています。
新人の自分が裸のまま部屋に誘導することに比べ、先輩のちょっとした気遣いの差がいかに患者さんにとって救いになるのか、と当時感動したものです。
このような一見地味で地道な関りですが、これこそが精神科看護技術で一番大切なものだと思います。
男性看護師が多い
そういえば何で精神科には男性看護師が多いんでしょうね?
考えてみると不思議な気もします。
中には暴力があったり口調がきつい患者さんもいるので、そのようなときに男性看護師だと対応がしやすいといったことはあるかもしれません。
女性看護師にとってはそういうときに、近くに男性看護師がいると心強いと思います。
また慢性期の患者さんだと高齢で寝たきりの方もいたりするので、介助する際はやはり力がある男性看護師がいると助かることが多いです。
男性看護師にとって、同じ男性看護師が多いと気兼ねなく話も出来て働きやすいですね。
先輩や上司に男性が多いのも心強いです。
社会経験も武器になる
精神科の看護技術はコミュニケーションによるところが多いです。
社会人経験のある看護師は、同じ新卒でも年齢が高く看護師になるまでに色々と経験を積んでいるので患者さんとコミュニケーションをとる上で話の幅が広がります。
これが何かと助かります。
精神科病院には色んな境遇の患者さんがいます。
今まで仕事をしていた人、ゲームが好きな人、高学歴な人…
社会人経験があると色々なアプローチでその患者さんとコミュニケーションができます。
患者さんが興味を持って色々聞いてくれることもありますよ。
精神科はコミュニケーションをとってなんぼですので、自分のキャラクター(性別、性格、経験等)をすべて武器にしましょう。
看護師の占める役割が大きい
チーム医療において、患者さんの一番近くにいる看護師が占める役割はとても大きなものです。
その中でも精神科は特に看護師が存在感を持つことができます。
患者さんとの相性や看護師の力量によりますが、ある患者さんには主治医よりこの看護師との方がうまく意思疎通ができる、ということはよくあります。
患者さんと医師がうまくかみ合わなかったり、医師の診察を拒否する患者さんとの間に入って取り持ったりもします。
医師から「boobooさんがいてくれて助かりました」と言われたときは本当にうれしくなりました。
精神科看護師のデメリット
患者と関わる際のストレス
精神科ではやはり患者さんから暴力や暴言を受けることはあります。
妄想がある患者さんから突然水をかけたり叩かれたりすることもあれば、認知症患者さんに引っかかれるといったこともあります。
仕事とは言え、看護師も人間です。理不尽に暴力や暴言を受けたら誰だって怖いですし落ち込みますよね。
このような暴力・暴言を避けることも大切な精神科看護技術ですので、自分もまだまだ学んでいきたいと思います。
また、自傷行為やときには自殺してしまう患者もいます。幸運にも6年間働いているうちに患者さんの自殺に遭遇したことは一度もありませんが、ベテラン看護師から過去にあったという話は聞いたことがあります。
患者とうまく関われないときの不全感
精神科病院では何十年も前から入院していたり、退院してもすぐに調子を崩して再入院してしまう患者さんもいます。
一生懸命患者さんのために頑張っても、なかなか結果が出ず報われない気持ちになることもあります。
また、患者さんとうまくコミュニケーションが取れなかったり、そっけない態度をとられたり、腹が立つことを言われたりすると関わるのが嫌になったりすることもあります。
どーんと気持ちが沈んでしまうこともあります。
看護師も患者も同じ人間ですので、嫌なことがあったら落ち込むのは当たり前です。
そういったうまくいかないことを「そういうこともある」と思えると少し気持ちが楽になります。
他人に優しくできる人は、自分にも優しくできると思います。
患者さんも自分も同じ人間なんだ、ということは当たり前の話ですが、精神科で長く勤めていると忘れがちなことでもあります。
日々の関りの中で、ほんの小さな変化や成長を患者さんとともに喜んだり時には悲しんだりできることが精神科の醍醐味でもあります。
技術が身につかず転職に不利?
メリットの項目で話しましたが、特に新卒で精神科を選ぶことに躊躇する理由は「身体の技術が身につかなくて将来転職に不利では」という心配があると思います。
転職については精神科というよりも、1年未満のはやい離職をしているかどうかの方が問題になってくると思います。
実際転職サイトを見ていると病棟での経験年数3~5年があることが条件になっていることがちらほらあります。
もちろん、重篤な身体管理をしている身体科で技術を身に付けることはどこの科にいっても強みとなると思います。
しかし自分の周りにも精神科からスタートして一般科に転職している看護師はたくさんいるのであまり気にしなくてもいいのかなと思います。
まとめ
どの科を選ぶにせよ就職する際は「自分が興味があるか」と同じくらい「人間関係や病棟文化といった職場環境」「福利厚生」が大切だと思います。
この記事を書いているとどんどん精神科の良いところが頭に浮かんできてメリットばかりを強調してしまいましたが、どの診療科を選んでもそれぞれ良いところがあり、その病院、その病棟の文化によって働きやすさは変わってくると思います。
なるべく病院見学をして現場の雰囲気をつかんで職場選びをすることが大事です。
記事を読んでくれた人にとって、働く場所を選ぶ際の役に立てば嬉しいです。
それではまた。
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