こんにちは、boo booです。
看護師をしていると、腰痛に悩まされたり針刺し事故などヒヤリとしたことのある人が多いのではないでしょうか。
ひどいときには、患者や家族から暴力を受ける人も少なからずいます。
近年では新型コロナウイルスに感染してしまうリスクも高いでしょう。
このように看護師は労災のリスクが高いと言えます。
この記事では、特に腰痛と新型コロナウイルスでの労災保険についてシンプルに解説します。
もっと詳しく知りたい方は、記事の中にリンクを貼っているのでそちらを御覧ください。
●労災保険はどんなときに使えるのか
●労災が発生したらどうすればよいのか
●腰痛で労災申請できるのか
●新型コロナウイルスに感染した場合
私もおむつ交換や患者さんの介助で体を痛めてしまい労災を申請しましたので、実際の体験を踏まえて説明したいと思います。
労災保険とは
労災保険とは正式には労働災害補償保険といいます。
仕事中の労働災害に対して保険給付してもらえる制度です。
なんとなく聞いたことはある人がほとんどですよね。
労災保険は、正確には以下のように定義されます。
労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
厚生労働省 労災保険制度とは
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/index.html
そして、労災保険は正社員だけでなくパートやアルバイトで働いている人も対象です。
労災保険は社会保険制度の一つ
労災保険も社会保険の一つです。
社会保険制度とは
・医療保険
・年金保険
・介護保険
・雇用保険
・労災保険
の5つがあります。
労災保険意外の社会保険は給料明細から強制的に徴収されています。(介護保険は40歳から)
労災保険は他の社会保険と違って、保険料は事業主が負担します。
労災保険はどんなときに使える?
労災保険で給付を受けられる対象は、通勤災害と業務災害に大別されます。
●通勤災害:通勤中の事故などによる傷病や死亡
●労働災害:業務中の事故などによる傷病や死亡
通勤災害については、届け出を出しているのと違う道を通ったり寄り道をした場合の事故には労災認定がされないので注意しましょう。
寄り道については「投票」「家族の介護」「通院」等は例外とみなされる場合もあります。
普段は自転車通勤と届け出をしているが雨のため車で通勤した、といった場合も注意が必要です。
業務災害については、休憩時間中に起こったことや個人的な事情によるものは対象外となるようです。
基本的に、普通に仕事をしていた発生した傷病については労災の適応と考えて良いでしょう。
労災の補償内容
ここでは、腰痛や新型コロナウイルス感染症になった際に利用できる補償について主なものを説明します。
①療養補償給付
原則として無料で治療を受けることができます。
(労災指定医療機関で受診しなかった場合、一時的に治療費を自己負担した後に労災請求をすることで全額支給されます)
②休業補償給付
療養のために仕事を休んだ場合、休業4日めから1日あたり給付基礎日額の8割程度の給付を受けることができます。
注意点として、有給休暇を使用する場合はこの給付を受けることができません。
有給休暇が余っていれば問題ありませんが、そうでない場合は労災申請して休業補償給付を利用しましょう。
またボーナスが下がる可能性があることも頭に入れておきましょう。
③遺族補償給付
業務に起因する災害で労働者が亡くなった場合、遺族に対して遺族補償年金、遺族補償一時金などが支払われます。
厚生労働省「職場で新型コロナウイルスに感染した方へ」から抜粋
労災の補償は他にも介護給付や障害給付がありますが、すべてを説明するとややこしいのでここでは省略します。
腰痛は労災になる?
業務が原因で起こった腰痛は労災保険の対象となります。
腰痛の災害認定には以下の2種があります。
●災害性腰痛:業務が原因で突発的な力が加わることで起こる腰痛
●非災害性腰痛:業務が原因で腰に慢性的な負荷がかかることで起こる腰痛
厚生労働省「腰痛の労災認定」
私の場合は、夜勤でおむつ交換や移乗介助中に突発的に体を痛めたため災害性腰痛に当たるケースだったと思われます。
腰痛をはじめとする慢性的な痛みは長い付き合いになります。
私は幸い神経に異常はなく筋肉を行使して痛めただけでしたが、痛みで眠れない日もありました。
今でも定期的に通院をして湿布をもらって仕事をしています。
腰痛をこじらせてしまうと下手をすると一生付き合わなければならない恐れもあります。
湿布代も馬鹿になりません。これが労災だとすべて無料になります。(療養補償給付)
仕事が原因だと自分が思うのであれば、速やかに受診をして労災申請しましょう。
新型コロナウイルスに感染したら
医療従事者は新型コロナウイルス感染症のリスクが高い職業です。
そのため、医師、看護師、介護職の場合は業務外で感染したことが明らかな場合を除き感染経路が不明な場合でも労災の対象になります。
新型コロナウイルスに感染した場合、しばらく出勤停止になる場合がほとんどです。
有休が足りなくなったり、使いたくない場合は休業補償給付を使うことで休業4日めから1日あたり給付基礎日額の8割程度の給付を受けることができます。
もし、職場から有給休暇を使うことを強要されたり労災申請を渋られたりすれば、労働基準法に違反である可能性がありますので、労働基準監督署に相談しましょう。
看護協会から見舞金も出る 2023年3月31日で終了
残念ながら2023年3月31日で終了しました。
また、日本看護協会より新型コロナウイルスに感染した看護職員(保健師、助産師、看護師、准看護師)は見舞金として3万円の給付を受けることができます。
日本看護協会からの見舞金ですが、会員以外のすべての看護職員が対象です。
条件は以下のとおりです。
・業務上新型コロナウイルスに感染して労災認定または公務員災害補償制度を受けている。
・労災認定日が2023年2月28日までかつ申請期限が2023年3月31日まで(当日消印有効)
看護職員の現場復帰の支援のため、日本看護協会に企業・団体からの寄付金で運営されているとのことです。
詳細は日本看護協会のホームページをご覧ください。
まとめ:労災が発生したら
ここで労災が発生したときの流れをまとめてみましょう。
①勤め先(上司)に報告
②労災指定医療機関で受診(もし難しいなら労災指定でない病院でも可)
③労災を申請する
①勤め先(上司)に報告
労災が発生したらすぐに勤め先に報告をしましょう。看護師の場合は病棟師長になるかと思います。
労災の申請は、ほとんどの場合通常職場から申請するのが通例になっています。
遠慮がちな人だと、ここが結構ハードルが高いかもしれません。
私もそうでしたが、どうしても言いにくいですよね。
そんな人に限って無理をして体を壊してしまいます。
労災保険は労働者の権利です。事故が発生したら申請するのが当たり前です。
そして最終的に労災かどうか判定するのは上司や病院ではなく、「労働基準監督署」です。
②受診窓口で労災申請すること伝える
おそらく先に上司に報告する流れが多いと思いますが、もちろん状況によってはすみやかに医療機関に受診することが望ましい場合もあるかと思います。
労災の申請自体は、あとからでも大丈夫ですので安心して受診しましょう。
労災で受診をする場合は、医療機関窓口で労災申請することを伝えてください。
その際は、できるだけ労災指定医療機関を受診しましょう。
もし労災指定医療機関でなくても病院窓口では「労災申請する」ことを伝えましょう。
労災保険を利用すると健康保険が使えないためあらかじめ伝えておかなくてはなりません。
健康保険が使えないため、労災指定医療機関でないと一時的に全額負担となります。
しかしあとから帰ってきますので安心してください。
③労災申請をする
労災を申請する際は申請書を記載する必要があります。
申請書は職場でもらうケースが多いですが、厚生労働省のサイトからダウンロードもできます。
私の場合は、腰痛や背中の痛みであったためおむつ交換や移乗介助をした人数や、その際どんな姿勢で行ったのか、できるだけ腰に負担のかかる作業をしていた業況、期間を具体的に書くように事務の人から言われました。
そして申請後に労働基準監督署からどのような状況であったのか問い合わせがある場合があります。
私も申請して数日後に仕事中に病棟に電話がかかってきてびっくりました。
問い合わせ自体は数分程度のかんたんな確認をされただけでした。
問い合わせがあったあとは何も連絡がなかったため、申請が通ったとわざわざ知らせてくれることはないようです。
・申請書には労災が発生したときの具体的な状況を記載しましょう
・申請後に労働基準監督署から簡単な問い合わせがある場合がある
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、腰痛と新型コロナウイルス感染症を例に上げましたが、通勤中を含む業務で起こった事故では基本的に労災保険が利用できると考えて良いでしょう。
看護師をしていると「これって労災じゃ?」と思いながらも申請せずに仕事をしているケースも多いのではないでしょうか。
私もそうなのですが、上司に労災を申請しようと思った場合、どうしても言いにくいという気持ちがありました。
自分のミスで保証を求めるような、どこか厚かましいんじゃないかと思ってしまいます。
しかし、労災は労働者の権利です。
自分の健康ほど大事なものはありません。そして自分の体を守れるのは自分だけです。
この記事を見てくれた人も、幸せな一生を送るために無理だけではしないようにしてください。
それではまた。
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