こんにちは、boo booです。私はとある病院で8年ほど看護師をしていました。
しかしこれから先、一生フルタイム+夜勤という働き方を続けたくないと思うようになり、2023年に思い切って仕事を辞めました。
半年の無職期間を経て、「施設内訪問看護師」として週4勤務のアルバイトを約半年間勤めました。
この記事では、病棟と施設内訪問看護の働き方の違いやメリット・デメリットを解説します。
私も転職の際に色々調べましたが、施設内訪問看護について実際に働いている人の情報がほとんどなくなかなかイメージが湧きませんでした。
そのため、これから施設内訪問看護に転職を考えている人の参考になるように私の体験を情報として残しておきます。
メリット | デメリット |
---|---|
●残業・前残業がない ●看護業務以外の雑務が少ない ●時給・給料が高め ●勤務の調整がしやすい ●互助会費がなく飲み会も少ない | ●訪問件数が多い ●夜勤がある ●人間関係が難しいことも ●往診先のクリニックと連帯が取りづらいことも ●物品が少ない |
施設内訪問看護とは
施設内訪問看護とは、利用者さん個人の居宅ではなく、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などに入居する方の居室を訪問して、看護やケアを行う職種です。
レバウェル看護
施設内訪問看護は、一般的な在宅への訪問看護とは違い有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅などに対して訪問看護を提供します。
独立した訪問看護事業所が複数の老人ホーム等に訪問する場合もありますが、最近は施設に併設されている事業所もあります。そのような事業所は、原則併設された施設のみに訪問します。
基本的に施設内訪問看護では、移動時間が少なく効率よく訪問できるため収益性が高いとされています。その分、時給換算すると病院で働くより高い場合が多いです。
訪問看護で提供するケア内容
●バイタルサイン測定
●尿道カテーテル管理
●入浴日のストマ交換
●経管栄養、胃ろう注入
●血糖測定・インスリン注射
●点滴管理
●褥瘡処置
●浣腸・摘便
●おむつ交換・トイレ誘導
●在宅酸素管理
●食事介助
訪問看護の職員募集では、1〜3年の病棟経験が必要な場合がほとんどです。新卒で採用している事業所はあまりありません。
とはいえ、必要とされる手技は基本的なものが多いので病棟経験が浅くてもそこまで構える必要はないと思います。
訪問看護は専門的な看護技術を学ぶ機会が少ないと言われがちですが、「生活の場」で看護を提供するという独自の技術が求められます。
どんなところで働くにしても、その場所で学べる専門性があります。なので「訪問看護だから技術が学べない」なんていうことはありません。
一日のスケジュール
実際に働いていた事業所の一日の流れです
●9時 出勤
ギリギリ出勤でOK
その日の訪問表が張り出されているので、訪問時間まで今日の訪問の利用者さんの情報収集。
●9時半〜12時半 午前訪問開始(5〜7件)
1件あたり30分程度
訪問はみっちりあるので、なかなか記録を書く時間が取れないこともあります。それでも午後に記録を持ち越すようなことはありませんでした。
●12時半〜昼休憩1時間
休憩時間は1時間ゆっくり取れます。病院なら休憩中もナースコールで呼ばれることもよくあります。そもそも1時間しっかり休憩することも難しかったので、本当にありがたいです。
●13時半〜17時半 午後訪問(5〜7件)
午後も訪問がみっちり詰まっています。
●18時 退勤
夜勤や時差勤務の看護師に簡単にな申し送りをして退勤です。
残業はまずありません。
施設内訪問看護のメリット
病棟で働くことに比べて、ワークライフバラインスを取りやすいと思います
●残業・前残業がない
●看護業務以外の雑務が少ない
●時給・給料が高め
●勤務の調整がしやすい
●互助会費がなく飲み会も少ない
残業・前残業がない
・ギリギリ出勤でOK
・残業ほぼなし
病院で働いているときは、20〜30分早めに来て情報収集することが当たり前でしたが、私の務める事業所では始業時間から訪問までの間にゆっくり情報収集や申し送りができます。
病院に比べて利用者の状態が変化することは少ないこともあり、多分どこの事業所でも前残業はあまりないのではないでしょうか。
訪問時間が決められているので、よほどの急変対応でもなければ仕事が終わってからの残業もありません。
看護業務以外の雑務が少ない
・介護業務は介護士が対応
・家族連絡や面会対応も事務が対応
食事介助やおむつ交換、環境整備などの介護業務は介護士さんが介入してくれます。
利用者さんの物品管理や家族との面会対応なども基本的に看護師が対応することはありません。
そのため看護師は看護業務に集中しやすい環境です。
時給・給料が高め
・東京や大阪なら時給2,000円以上可
・正社員なら初年度から年収500万円以上可
訪問看護は比較的診療報酬が手厚いこともあり、看護師の給料も高めに設定されていることが多いです。
都会であればアルバイトでも時給2,000円以上のところも多いです。
正社員で夜勤をするなら初年度から年収500万円以上は可能です。
私の場合、週4・夜勤なしで月収30万円前後(手取り約26〜28万円)でした。
勤務の調整がしやすい
・病棟より働く時間に融通が利く
施設内訪問看護だと夜勤がある事業所も多いのですが、アルバイト職員が多いこともあり夜勤免除や時短で働いている人も多いです。
実際私も給料よりワークライフバランスを重視したかったので夜勤免除で働いていました。
また、病院だと急な欠員が出ても全体の業務量は変わりません。
訪問看護は訪問日を調整することである程度業務量を調整できるので、お子さんが小さくて急な休みが必要になる人も働きやすいと思います。
実際私の職場でも勤務調整はかなり柔軟に対応してくれますし、急な欠員が出ても大きく負担が増えるということはありません。
互助会費がなく飲み会も少ない
・意外と大きい互助会費
病院や大きな組織になってくると詰め所費や互助会費(共同購入物品や冠婚葬祭費など)を給料から数百円から千円程度徴収されることも多いと思います。
毎月数百円から千円程度でも、長く勤めれば大きな出費となります。
訪問看護は病院のように職員数も少ないし、パートタイムで働いている人も多いので病院よりは互助会費を徴収されることは少ないと思います。
また同じ理由で飲み会もあまりありません。
この点は事業所によって違うと思いますが、個人的にはものすごくありがたいですね!
施設内訪問看護のデメリット
デメリットももちろんあるよ
●訪問件数が多い
●夜勤がある
●人間関係が難しいことも
●往診先のクリニックと連帯が取りづらいことも
●物品が少ない
訪問件数が多い
訪問が多すぎてパンクしそうになることも
特に施設内訪問看護では移動の時間がないためその分みっちり訪問が詰まっていることがあります。
事業所の収益は、看護師の訪問数が増えれば増えるほど多くなります。
施設内訪問看護の給料が良いのも、高い収益性があるからなのである程度しょうがない部分だと思います。
夜勤がある
・病棟よりは負担軽い
・夜勤がある代わりにオンコールがない
施設内訪問看護では24時間看護師常駐している事業所が多いため、基本的に夜勤があります。
夜勤がある事業所は、その代わりオンコール対応はありません。
夜勤も基本的に介護業務は介護士が対応するため、病棟での夜勤よりは負担は軽いです。
急変でも起きなければ仮眠もしっかり取れます。
メリットの部分では解説した通り、夜勤は免除できる事業所も多いので入職前に確認しておきましょう。
人間関係が難しいことも
・介護士と看護師の人間関係
・複数名訪問が多いため2人で訪問することが多い
病院と違い介護施設だとまた違った人間関係の難しさもあります。
今の職場でも介護士さんと看護師がうまくコミュニケーションを取れていないと感じます。
また、施設内訪問看護ではより加算が取れる「複数名訪問」が多くなります。
「複数名訪問」は看護師2名、もしくは看護師1名と看護補助者1名の訪問になるので、困ったときに助け合えるというメリットはありますが、合わない人や苦手な人と一緒だとけっこうしんどいです…
一人で訪問するほうが正直気が楽です
往診先のクリニックと連帯が取りづらいことも
・往診先のクリニックによってルールが違う
・往診先によって対応がずさん
病院と違ってすぐに医師と連絡が取れるわけではありません。
利用者さんに何かあったとき、定期の往診や受診のときに合わせて相談することが多いですが、往診先のクリニックによって指示内容やルールが異なり混乱します。
往診先によっては対応がずさんだったり、コミュニケーションが取りづらいところもありました。
物品が少ない
・病院よりコスト管理が厳しい
病院に比べてどうしても物品が少ないです。
ディスポ手袋の数が少なかったり、少し不便を感じることも多いです。
また、利用者さんに使用するガーゼやテープ類は都度購入して貰う必要があるので大事に使わないといけません。
まとめ
●ワークライフバランスを重視したい
●一人ずつゆっくり利用者と関わりたい
●自分の裁量で仕事をしたい
●色々な経歴の看護師から学ぶ意欲と柔軟性がある人
これまで病棟で働いた経験しかなかったので、正直不安はかなりありました。
本当にこの歳で転職なんてしても大丈夫かな…
これからは終身雇用が崩壊し、転職が当たり前の時代になってくると言われています。
今の日本は少子高齢化による医療費の圧迫が深刻な問題となっているため、在宅や施設で医療を受けられるようにする流れは今後も続いていくと思います。
そのため、看護師の働く場も病院から地域へ移っていくことは間違いないでしょう。
もし私の転職活動が参考になれば幸いです。今回の転職活動についてはこちらの記事で解説しています。
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