看護師の「お礼奉公」って?利用するときの注意点【失敗談】

こんにちは。boo booです🐷

今日は看護師のお礼奉公制度について、実際に利用した立場から解説したいと思います。

うまく利用すれば看護師を目指すための大きな助けになる一方、注意点もあります。

利用する前に仕組みやデメリットをきちんと理解しましょう

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目次

お礼奉公制度ってなに?

●お礼奉公は就職先の病院から借りる奨学金の一種
●一定の年数働くことで返済が免除される
●契約年数の前に退職すると全額返済が求められる

お礼奉公とは、病院が看護学生に対して奨学金を貸す代わりに、卒業後一定の年数(2年制、3年制の学校に応じて2年間借りたら2年、3年間借りたら3年であることが多い)働く契約を交わします。

そして契約の年数働くと、借りた奨学金の返済は免除されます。

つまりうちの病院に就職して働いてくれたら奨学金チャラにしてあげるよ!というありがたいお話です。

ちなみに病院付属の看護学校で利用できるケースが多いです。ときどき付属でない学校から就職しても利用できる病院もあります。

しかし、契約期間前に退職すると一括返済を求められる場合が多いことに注意が必要です。

奨学金といえども借金

安易な気持ちで借りると大変なことに

私も看護学校の2年生のときにある病院に内定をもらい、そこから奨学金を借りました。学校が3年制の専門学校だったので、3年分の奨学金180万円借りることができました。

そのときは3年勤めあげれば180万円丸々返済しなくていいなんて、なんて素晴らしい病院だ!と思ったものです。

しかし安易に「もらえるものはもらっとけ!」という意識で奨学金を借りたことが地獄の始まりでした。

今思うと奨学金といえども借金を借りているという意識が足りなかったと思います。

借りるなら、いざというときに一括で返せる貯金をしておくことがベスト

背景を考えよう

●なぜ数百万円の奨学金をチャラにしてくれるのか、という背景
 →慢性的な人材不足
 →新人がすぐ辞めてしまうブラックな環境の可能性

もちろん、そんなうまい話だけでなくリスクもあります。

一番注意しなければならない点は、もし契約期間を満たさずに退職する場合、一括で返済を求められる契約になっている場合が多いということです。

就職したばかりは引越等色々と費用もかかりますし、働いてすぐに何百万円という金額を一括で返済できる人はまずいないのではないでしょうか。

看護師は世間で言われているように人手不足の業界です。新人のときに辞められると病院としては痛いわけです。それでお礼奉公という制度で数年は辞めないように縛りをつけているというわけです。

もしかすると新人がなかなか定着しないブラックな職場なのかも?

それでもお礼奉公の途中で退職したくなったら

●お礼奉公の契約期間前でも退職はできる

前述の通り、私は最初に勤めた病院で3年間働く契約でお礼奉公を利用しましたが、ブラックな環境に耐えられず半年で退職しました。詳しくは自己紹介も見てもらえると嬉しいです。

 結論から言うとお礼奉公を借りていても退職はできます。返済も一括ではなく分割返済ができました。

 色々なサイトを調べてましたが要約すると

●お礼奉公制度は法律的にグレーな部分がある
●一括返済の強制は違法

また、中には違約金を上乗せして返済を求める病院もあるようですが、これは完全に看護師を奴隷扱いしていますね。

自分がしたこと→「労働基準監督署」(労基)に相談

自分が奨学金を借りていた病院も、契約書を確認すると途中で退職した場合は「一括で返済すること」と記載がありました。

しかしそんなお金はどこにもありません。

誰か助けて…

 色々調べてみるとこのような問題はどうやら「労働基準監督署」で相談に乗ってもらえるらしい、ということでさっそく相談に行きました。

大阪府労働局 wikipediaより https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%B1%80

「労働基準監督署」とは簡単に言うと、賃金未払いやパワハラ等の困りごとを労働者の視点で色々と相談できる国の窓口です。

「労働基準法」に反したようなあんぽんたんな職場には「コラッ」っと指導をしてくれるわけですね。

労働基準監督官は、労働基準関係法令に基づいて、事業場(工場や事務所など)に立ち入り、法に定める労働条件や安全衛生の基準を事業主に守っていただくよう、必要な指導を行い、労働条件の確保・向上と働く人の安全や健康の確保を図ります。また、不幸にして労働災害に遭われた方に対する労災補償の業務を行います。
企業が労働基準関係法令の理解を深め、適正な労働条件の定着を図っていくことができるよう努めています。

労働基準監督署の仕事 厚生労働省 https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/law/kantokukan.html

 全国にあるので、お近くの労働基準監督署を利用できます。

労基で相談した結果

●「奨学金を一括返済できない」という理由で退職ができないことは違法にあたる
●現時点で労基が直接間に入ってくれるわけではない
●分割払いを相談してそれが認められない場合は労基が間に入ってくれる

いざ近所の労基に行くのはかなり緊張しました。相手にされなかったらどうしよう・・・と不安な気持ちになりました。

正直かなり追いつめられていたので藁をもすがる気持ちで頑張りました。

中に入ってみると市役所みたいなイメージでした。窓口へ行き順番を待っているとすぐに案内され、そこで以外にも(失礼)親身になって話を聞いてくれたことは印象に残っています。

ネットで色々調べていたのでお礼奉公がグレーであることや、強制的な一括返済が違法であることはあらかじめ知っていました。

正直、今すぐなにか動いてくれるわけではない、ということだったのでその点は残念に思いました。

しかしブラックな環境で疲弊している中、労働者側に立って相談に乗ってもらえたことは大きな安心となりました。

大きく進展したわけでないですが、得るものはありました

病院側が分割払いに応じずあくまで一括返済を求めてきた場合、「労基でもう一度相談します!」と言えるだけでも心強いものがありました。

病院と話し合った結果

最終的に1年間の分割払いになる

その後、病院の事務に奨学金について相談に行きました。

結局、契約書には一括払いとしか書かれていませんでしたが、こちらが言い出すまでもなく「1年間の分解払い」か「一括払い」かどちらかを選ぶように言われました。

え、分割で払えるんかい!なら契約書にそう書いておけよ!と思いました。

そのあたりもなるべく新人に辞めてほしくないけど、トラブルも困る、という病院側の都合が垣間見えました。

なんかずるいな、って思いながらも納得しそうになりましたが

180万円を1年間の分解払いって「月15万円」やないかい!

仕事辞めてすぐの人間が払い続けられる金額ではありません。

せめて「2年間の分割になりませんか」と相談しましたが「それはちょっと・・・」と控えめに言われてしまいました。こっちも「借りて使ったお金だし、利子を取らないだけまだありがたいか・・・」と思いしぶしぶ同意しました。

ここから再度労基に相談するという手はありましたが、自分もそれ以上戦う余裕も体力もなく結局1年の分解払いで決着しました。 

結局高金利のカードローンの借金をすることに

●高金利のカードローンは絶対に利用してはいけない
●もし借金があるなら最優先で返済を

最後は親に泣きつき肩代わりしてもらいましたが、結局親に返済するために消費者金融(カードローン)で借金をするということになってしました。

なんとかブラック病院からは解き放たれましたが、今度は消費者金融の借金で苦しむ羽目になったわけです。

少し話は逸れますが、カードローンの利子は年利10%以上といったとんでもないものなので本当に注意が必要です。

当時は「100万円借りて一年で10万円ちょい多く返すって、まあ小さくはないけどそんなもんなんじゃない?」と本気で思っていました。

まあなんとかなるでしょ

無知とは恐ろしいもので、気を付けないと本当に人生が飛びます。

くれぐれも高金利の借金はしないようにしましょう。もし借金があるなら最優先で返済をしてください。

【カードローン】看護師の借金返済【地獄】で詳しくお話しています。

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最後の手段「退職代行」

●労働者の代わりに退職の手続きを代行してくれるサービス
●手続き、備品の返却や職場に預けた荷物に受け取りなどすべて代行してもらえる

労働者は退職する権利があります。民法では退職の2週間前に伝えれば自由に辞めることができます。

しかし人手不足の業界では、退職できないように圧力をかけたり脅すようなことまで言って引き止めることがあります。

円満に退職することが一番ですが、どうしても辞めたいの辞められない、という状況なのであれば最後の手段として退職代行を利用する方法もあることは知っておいてください。

基本的にすべて職場とのやり取りをしてくれるので、労働者は職場に顔を見せる必要はありません。

前提として、円満に退職できるならそれが一番であることは間違いありません。
「退職代行」を利用するのは最後の手段と考えましょう。

退職代行については【看護師】安心できる退職代行業者の選び方と注意点で詳しく解説しています。

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まとめ

●お礼奉公の期間内でも退職することはできる
●どうしても一括返済を求められるような「労働基準監督署」(労基)に相談を
●いざというときに一括で返済できるようにしっかり貯金をしておく

お礼奉公制度はうまく使えばとてもありがたい制度ですが、

・就職するまでそこがどんな環境かはわからない
・本当に2~3年働くことができるのかわからない

という大きな落とし穴があります。

看護師はまだまだ労働環境が良くない場所が多く実際にそれは事実だと思います。

もしお礼奉公を利用して看護師になることを考えている方は、リスクを良く考えたうえで選択してください。

そして、もしお礼奉公を利用している人でも、辛くて続けられないと思ったら無理をせず辞めてもいいんだよ、というのが個人的な意見です。

仕事は自分の心身を疲弊してまで続ける必要はないと思います。

置かれた場所で咲きなさい、ではなく咲ける場所に移動しましょう。

消費者金融で借金を抱えるという目に会いましたが、それでも私はブラックな職場を辞めたことに後悔はありません。

ブラックな職場は本当に辛かったです

同じように苦しんでいる方の参考になれば嬉しいです。

お礼奉公については【奨学金】お礼奉公制度の解説と実際に利用できる大阪の専門学校・病院【返済免除】でも解説しています。

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参考にしたサイト

法律的な解釈は、色々なサイトで紹介されています。
マイナビ看護師が運営するサイトがわかりやすかったので詳しくはこちらをご参照ください。

 

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