看護師の給料事情 日本人全体との比較と推移

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こんにちは。boo booです。

今日は、看護師の給料について、「本当に高給なのか」「日本人全体と比べてどうなの?」といった疑問や、将来性についてまとめたいと思います。

・看護師が高給ってほんと?サラリーマンと比較してどうなの?
・コロナや少子高齢化で今後どうなる?

日本ではバブル崩壊以降、「失われた30年」など言われており諸外国と比べて給料があがらない国になってしまいました。

最近では、岸田首相が医療従事者の賃上げを実施していますが、いったいどれくらいあがったのか、これから先本当にあがっていくのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

目次

看護師と日本人全体の給与の比較

岸田首相は所得倍増計画をうたい、実際に看護師の賃上げを実施しました。

しかし対象となる看護師は一部の医療機関の看護師に限定されます。
上げ幅も期待ほどではないというのが看護師側の正直な意見です。

賃上げについて詳しくは後述します。

それでは看護師の給料と日本人全体の給料の推移はそれぞれどうなっているのでしょうか。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査から2010年から2021年の間の看護師と日本人全体(民間企業)の平均年収の推移をグラフ化しました。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査より:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額から算出

2014年から2019年までは、日本人全体の平均と比べて低い水準だったことは意外に思いました。

日本人全体の給与が2013年から増加している要因について、その頃何があったのか調べてみるとちょうどアベノミクスが2012年頃から始まったようです。

アベノミクスがどんなものか詳しくは私もわかりませんが、アベノミクスは「失敗した」「ごまかしだ」と叩かれていることが多い印象でした。

アベノミクスが要因だとはこのデータだけでは言えませんが、日本人全体の給与が増加しているのは事実です。

そして、看護師に限って言えば、この日本人全体の給与の増加の恩恵はあまり得られていなかったということですね。

2019年に日本人全体の平均が下がったのはコロナの影響と考えるのが妥当でしょう。

医療機関も看護師のボーナスカットが取り沙汰されていましたが、看護師はその他の産業よりは影響は少なかったと言えそうです。

注意点として、この数字は夜勤手当等の手当ても含めた年収です。

夜勤ありきであることを考えるとそこまで高い年収ではないというのが個人的な感想です。

それでも右肩上がりであることは嬉しいことですね。

しかし、看護師は高給取りだ、と言われるのはちょっとどうかと思ってしまいます。

あくまで過去10年のデータからですが、ここからはコロナ禍のような大きな経済的ダメージがあったとき、日本人全体と比べて安定している分、上昇幅も少ない、と読み取れます。

●2014年から2019年までは、日本人全体の平均と比べて低い水準だった
●看護師の給与は微増だが右肩上がり 現在は日本人全体より高い水準
●看護師の給与は夜勤手当ありきの数字
●大きな災害や不況などの影響は少ないが、安定している分上昇幅も少ない

年齢別の比較

次は年齢別の比較を見ていきたいと思います。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査より:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額から算出

20~34歳までの若い年齢層では看護師のほうが日本人の平均よりもかなり高い給与となっています。

特に女性の平均給与は低い水準にあるため、女性看護師は同世代の女性と比べてかなり高い給与ももらっていることになります。

このあたりが「看護師は高収入だ」というイメージをもたれやすい理由なのかもしれません。

しかしそこから徐々に逆転し、50~59歳のピーク時では看護師の平均給与は日本人全体よりも低い水準となっています。

これは、会社員と比べ看護師は役職が少なく上がり幅が小さいためと言われています。

各病棟に主任と師長、その上に副部長、部長がいるくらいでその他多くはヒラ看護師です。

夜勤をしてたくさんのプレッシャーに耐えながら一生懸命働いても、一番のピークでは民間企業の平均より下回ってしまうんですね。

そして60歳から多くの企業では定年を迎え大幅に給与は下がります。

ここから看護師が再逆転し、日本人全体よりも高い水準となっています。

定年を迎えても看護師は給与が下がりにくいため、老後の心配はその他の会社員よりも少ないと言えるでしょう。

定年後にまで働きたくないよ!という意見もあるでしょうが、選択肢があることは良いことです。

年金だけで悠々自適な老後を迎えるのはこれからの時代難しいと言われています。

定年後は仕事を辞めてゆっくり過ごしたいと思う人は、若いうちから貯蓄や投資に励む必要がありそうです。

●若いうちは日本人全体の平均よりも高給
●給与のピークの年齢では日本人全体の平均よりも低い
●定年後は看護師のほうが給与は下がりにくいため老後の不安は少ない

休日と有給消化率の比較

私は会社員をしたことがありません。
よく看護師はしんどい、大変だと言われますがサラリーマンだって大変だと思います。

看護師もサラリーマンも職場や人間関係によって様々です。
一概どちらが大変だと言えるものではないでしょう。

特に飲食業や観光業はコロナ禍で給料が下がるどころか職を失った人も多かったと聞きます。

微差ではありますが看護師のほうが有給消化率や年間休日は多いというデータもあります。

  有給休暇消化率 年間平均休日
日本人全体(民間) 56.6% 116.1日
看護師 61.8% 117.3日

厚生労働省:令和3年就労条件総合調査の概況
日本看護協会:2021 年 病院看護・外来看護実態調査 報告書

ただ、看護師は夜勤をしないとかなり給料は安いです。

私は今現在3交代制の夜勤を月に5~10回程度していますが、夜勤は確実に健康を損ねる働き方だと思います。

看護師は夜勤をしてやっとまともな給料がもらえるところがあるので、やはりちょっと割に合わないように思います。

看護師の賃上げ

岸田首相が「看護職員等処遇改善事業」として2022年2~9月に看護師の給料を月4,000円上乗せすることを決めました。

しかし、あくまで「地域でコロナ医療など一定の救急医療を担う医療機関」に限られます。
これは現在就労をしている看護師全体の4割弱になるそうです。

残念ながら私の勤める病院は対象外です( ;∀;)

9月以降はどうなるの?と気になるところですが、2022年10月からは賃上げは月4,000円から月12,000円と増額される予定です。

財源については、9月までは補助金で賃上げがされていましたが、10月からは診療報酬の改定することで確保されます。


しかし賃上げ対象の医療機関を増やすことはなく、これまでと同じく「地域でコロナ医療など一定の救急医療を担う医療機関」に限定されたままです。

少子高齢化が続く日本では財源を増やすことは並々ならぬことでしょうけど、少し残念です。

看護師の給与 これからどうなる?

ここまで過去のデータから看護師の給与と日本人全体の比較をしてきました。

それでは、これから看護師の給与はどうなっていくのでしょうか。

一番の問題は少子高齢化はこれからもどんどん進行していくということです。

医療費が増加することで、看護師を始めとする医療従事者の給料も下がってしまうことはありうるのでしょうか。

どちらかというと、国は将来不足する医療従事者を確保するために看護職員確保対策を打ち出して日本の医療を支えるために潜在看護師を現場に戻ってもらおうなどと待遇改善に努めているように見受けます。

税・社会保障一体改革における推計において、団塊の世代が後期高齢者となる平成37年には、看護職員は196万人~206万人必要であるとされています。就業者数は、年間平均3万人程度、増加していますが、このペースで今後増加しても平成37年には3万人~13万人が不足すると考えられます。 今後、必要となる看護職員を着実に確保するために、「養成促進」「復職支援」「離職防止・定着促進」に取り組んでいます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095525.html

今回の医療従事者に対する賃上げもその一環だと思います。

これらのことから看護師の給与は大きく増えることはないが減ることもない、これまで通りを維持、ないしは微増していくと予想します。

その代わり、健康保険料の負担は増加するでしょうし、そうなると給与が維持されていても手取り額は下がっていくということにもなりますね。

●国は不足する看護師の確保に力を入れている
●看護師の給与は現状維持、もしくは微増していくと予想
●その分、国民の健康保険料等の負担は増える

額面の給与だけでは判断できない

これまで見てきたように、看護師も日本人全体を見ても微増ではあるものの概ね右肩上がりに推移しています。

しかし、単純に手元に残るお金が増えると考えるのはまだはやいです。

額面の給料からは税金や社会保険料が引かれるからです。

少子高齢化の影響で、年金の支払いや健康保険料も上がっていっていますし、2022年10月からコロナの影響で雇用保険料の徴収が増加しました。
(月給30万円なら月額600円程度の負担増)

また、物価の上昇も考慮しなければいけません。

ここ最近は円安やロシアウクライナ戦争の影響をはじめとすると人件費や原材料費の上昇の影響で、食料品や家電、電気代やガス代などあらゆる生活必需品が値上げされていますよね。
本当につらかとです・・・(T_T)

例えるならもらえる手取り給料が同じでも物価が2倍になれば半分の価値しかなくなるわけです。

これらの価格高騰が続けば、少しばかり給料が増えてもそれ以上にお金の価値が下がってしまってはちっとも生活は楽になりません。


SNSやテレビのニュースではネガティブな話題が注目されて広まりやすいという面もあると思いますがなんだか日本の将来にネガティブな空気を感じてしまいますね。

でも自分の将来は自分で明るくすることもできると信じています。

マネーリテラリーを高めることが大事

これまで見てきたように、看護師、日本人全体ともに給与額は少しずつ増加しています。
それでも生活が豊かになっている感覚があまり感じられないのは、それ以上に税金や社会保険料の増加、物価の上昇が大きな負担になっている可能性がありますね。

これからは、看護師としての専門性を高めるだけにとらわれないことが大切だと思います。

看護師はなかなか収益や生産性について触れる機会がなく、お金についても疎くなりがちです。

これからの時代は自分の生活を守るために、きちんと家計簿をつけて支出を管理すること、税金や保険の仕組みを学ぶこと、投資や副業について取り組むことといったマネーリテラシーを高めることが必要になると思います。

まとめ

●看護師の平均給与は微増ながら上昇している
●ここ数年は看護師の平均給与は日本人全体より高い
●社会保険料や税金、物価の上昇は続いていくため手元に残るお金は増えにくい
●マネーリテラシーを高めてこれからの時代に備えることが必要

いかがでしたでしょうか。

私はお金や経済について専門家というわけではなくただのしがない看護師です。

ネットと本から少しずつ勉強して今回の記事を書きました。

もし読んでもらえた方の役に立ったなら嬉しいです。

また、間違っている部分などあればメールやSNSでご指摘いただけると幸いです。

今回、厚生労働省の統計データから平均年収を比較しましたが、あくまで平均値は参考にしかなりません。
(平均値は極端に年収が高い、もしくは低い数字があると引っ張られやすいため)

これからも看護師や看護師を目指す人の参考になる記事を書いていきますのでよろしくお願いします。

それではまた。

参考書籍

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