こんにちは、boo booです。
今回は「看護職向け賠償責任保険」について解説していきます。
●コスパは良い
●最終的には職場環境や個人の属性で判断を
年間掛金はどこも2,000~5,000円程度と補償内容からするととても安いと思います。
私はwllnextの保険に加入しています
各社それぞれの補償内容の比較したいと思います。もし「看護師向け賠償責任保険」に加入するかどうか迷っているのであれば参考になると思います。
そもそもの「保険についての考え方」についても解説します。
「看護師向け賠償責任保険」とは
日本看護協会によると以下のように説明されています。
日本国内で看護職(開業助産師を除く)が行う業務によって、他人の身体や財物に損害を与えたり、人格権を侵害したため、法律上負担しなければならない損害賠償責任を補償します。また就業中に受けたハラスメントにより弁護士に相談したり、委任した場合の費用等も補償の対象となります。
日本看護協会 看護職賠償責任保険制度より抜粋 https://li.nurse.or.jp/merit/index.php
看護師の過失によって患者に事故が起こった場合、看護師を雇っている医療機関と看護師本人には損害賠償責任が生じる可能性があります。
訴訟は事故を起こした看護師個人ではなく「医療機関」に対して行われる場合が圧倒的に多いです。
個人では支払い能力に限界があるため、医療機関に損賠賠償するほうが支払ってもらえる可能性が高いことも要因でしょう。
それでも実際に看護師個人に対して損害賠償請求された事例はこれまであるようです。
想像するだけで恐ろしい…
看護師が訴訟され過失が認められた事例
「蕁麻疹患者に対する静脈注射を指示した医師が注射の場に立ち会わず、准看護師が薬剤を誤投与し、患者に重篤な後遺症。医師、准看護師の治療上の過失及び病院の調査・報告義務違反を認めて患者と両親に損害賠償を命じた地裁判決」
医療安全者推進ネットワーク https://www.medsafe.net/precedent/hanketsu_0_166.html
「県立病院で入院患者がおにぎりを誤嚥して窒息。その後約9ヶ月後に死亡。県と看護師に損害賠償責任を認める判決」
医療安全者推進ネットワーク https://www.medsafe.net/precedent/hanketsu_0_119.html
精神科だと訴訟リスクは高い?
●職場環境によって訴訟のリスクは異なる
精神科病院では一般かと違い、患者本人が入院に同意をしていないケースが多々あります。(強制入院)
また、精神保健福祉法に基づいた行動制限(身体拘束等)も行われる場合もあります。そのため、事故が発生したとき医療従事者と患者間の関係性がこじれやすいという土台があります。
個人の感想ですが、精神科では一般科に比べて患者や家族から訴訟をされるリスクが高いように思います。
実際、訴訟までは行かなくても患者、家族からのクレームやトラブルはよくある話です。
精神科に務める看護師は保険に加入している方が安心かもしれません。
逆に、職場環境が医療安全に配慮されておて、事故や患者からの訴訟のリスクが少ないと思うのであれば必ずしも必要な保険ではないと思います。
個人の属性によってもリスクは違う
例えば、独身者と専業主婦の妻と幼い子供がいる人では、訴訟された際の世間体や金銭的負担によるダメージが大きく違います。
私は当時独身でしたがそこまで深くは考えず
まあ安いし入っとけばいっか
くらいの感覚で入っていました。
もし養わなければいけない家族がいるなら、万が一のときにリスクは高いと言えます。
補償内容比較
「看護師向け賠償責任保険」について各社まとめてみました。
前述したようにどこの保険も年間掛金が高いほど補償金額も高額ですが気にするほどの違いではないと思います。
詳しい内容はそれぞれのホームページでご確認ください。
年間掛金(*1) | 対人事故 | 対物事故 | 初期対応費用 | コロナ入院見舞金 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
wllnext | Aプラン | 2,980円 | 5,000万円 | 50万円 | 250万円 | |
Bプラン | 3,440円 | 1億円 | 100万円 | 250万円 | ||
ナース専科 | 1,580円 | 5,000万円 | 50万円 | 250万円 | ||
Agent | 3,840円 | 1億円 | 100万円 | 500万円 | ||
メディカル保険サービス | 5,640円 | 1億円 | 1億円 | 500万円 | ||
日本精神科看護協会 | 2,800円 | 5,000万円 | 30万円 | 500万円 | ||
日本看護協会 | 2,650円 | 5,000万円 | 100万円 | 500万円 |
(*1)年間掛金に別途事務手数料が必要な場合は、事務手数料込みの金額を記載しています。
注意点としては「日本看護協会」と「日本精神科看護協会」では会員限定の保険ということです。
現在どちらかの会員の方は、保険も同じところに加入したほうがお手軽に思うかもしれません。
しかし、会員を退会した場合はまた新たに保険に入り直す必要があります。しかも会員だからといって、保証内容が特別優れているわけでもありません。
看護師をしている間は絶対に退会しない、という人以外は他の保険に加入したほうが面倒がなくて良いでしょう。
看護師賠償責任保険の選び方
正直、保証内容や掛け金についてはどこも差がほとんどありません。
前述したように、日本看護協会・日本精神科看護協会は会員でないと加入することができません。わざわざそのために入会するには協会費が高すぎます。また協会を退会した場合はまた保険会社を探さないといけません。
なので、わざわざ日本看護協会・日本精神科看護協会の保険に加入するメリットはないと考えます。それ以外ならどこを選んでも大差はないと思います。
個人的なおすすめはWillnextになります。プランも2種類から選ぶことができますし、保証内容とのバランスは良いと思います。
もしくは一番掛け金が安いナース専科もおすすめです。
私はコロナに感染してwillnextの見舞金をもらいましたが、現在は終了しています。しかし入院した場合は日数に応じた入院見舞金はもらえます。
willnextの入会資格について
willnextの保険は「一般社団法人日本看護学校協議会共済会の会員」向けという書き方をされていますが、保険の入会をすれば自動的に共済会にも入会できるので、特に看護学校関係者でなくても入会できます。
数ヶ月に一度、共済会の活動などについての冊子が送られてきます。お金がかかるわけではないので気にしなくていいと思います。
コロナ感染見舞金制度 2023年4月以降変更
●コロナ感染で貰える1万円の見舞金は終了
●コロナ感染によって入院した場合、日数に応じた見舞金は継続
willnextでは新型コロナウイルスに感染した場合「感染見舞金制度」という制度があります。
職場で感染したかどうかに関わらず、入院した場合は日数に応じた入院見舞金が支払われます。入院を伴わない場合は一律1万円の見舞金が支給されます。→2023年4月以降なくなりました。
2023年4月以降、入院を伴わない場合の見舞金についてはなくなってしまいました。しかし5類以降後も入院した場合は1日8,000〜50,000円程度の見舞金が支払われます。
5類以降後も新型コロナウイルスによる見舞金が出る保険会社は、今回紹介している中でWillnextだけの制度になります。
その他の保証の内容は各社大きく変わりありません。
改悪されてしまったものの、コロナ感染のリスクが高い職場で働いていたり、基礎疾患があり重症化のリスクが高い場合はWillnextをおすすめします。
詳しくはWillnextのホームページを御覧ください。
ただし、見舞金はあくまでおまけとして考えてください。
見舞金はあくまでおまけ
保険の目的は、万が一賠償責任を負わなければならないときのため
コロナ感染での入院見舞金が出ることでwillnextを勧めましたが、見舞金目当てで保険に入るのは目的がズレてしまっています。
あくまで掛金や保証内容が各社大きく変わらないのであれば、おまけがついているところを勧めている程度の温度感です。
保険に入る目的を忘れないようにしましょう
「保険」についての考え方
●保険で得をしようと思ってはならない
●確率少なく損失が大きいものに備える
そもそも保険というものは、「確率が少なく万が一のとき損失が大きいもの」に厳選することが必要です。
日本人はものすごく手厚い社会保険に加入しているので、必要な保険というものはそこまで多くありません。
●掛け捨ての生命保険(働いていない家族や幼い子供がいる人)
●自動車保険(車持っている人のみ)
●火災保険
毎月5,000円以上保険に支払っている人は、不要な保険を見直す方が良いかもしれません。
毎月の支払いで生活が苦しい…
保険の見直しは一括見積もりで比較することをおすすめします。下記のサイトから火災保険の一括見積もりができます。
「看護師向け賠償責任保険」のまとめ
●コスパは良い
●職場環境や家族構成によって個々に判断が必要
●Willnextのみコロナ感染見舞金制度あり
●見舞金はあくまでおまけ
保険というものは「少ない可能性でも万が一発生すると大きなリスクがあること」に対する補償です。
看護師向け賠償責任保険についても個人的には保証内容の割にコスパは良いと思いますが、リスクは職場環境や家族構成によっても異なります。
保険に入る目的と自分にとってのリスクを天秤にかけて判断することが必要だと思います。
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